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星の歌 1

それは夏のことだった。深く静まり返った群青の空気の中、少し冷ややかで湿った空気の粒たちが青白い光に照らされてふわふわと遊んでいる。川のちょぼちょぼと控えめに流れる音を聴きながら、さっきから同じ事ばかり頭に浮かんでくる。
どうしたことだろう。
ここの所めっきり星の歌が聴こえないのだ。
それはぶ厚い雲に空が覆われているなんて単純なことではない。私にはいつだって星の歌が聴こえてきていたのだ。かすかに震えるような、川底で石英のカケラがキラキラと反射するような歌が。
夜光虫が飛び回り、ヒグラシが鳴きやんだ夜。私は息をひそめて、星の歌を待っていた。
すると聞きなれない音が聞こえだした。どうやら足音のようだ。人にしては軽やかすぎる。大きさは…そうだな、ネズミよりは大きく、クマよりは小さい。よくよく耳を澄ますと、どうやら会話をしているらしい。
「この夏のできはどうだね?」
「いやいや、日照り続きで甘くも辛くもないんだよ。」
「味気ないってことかい?」
「そう、味気ないってことさ。」
何の話かはわからないが、味気ないことだけはわかった。
そして声はどんどん近づいてきて、月明かりの下に影を落とした。よーく目を凝らして見ると、それは2匹のネコだった。ネコたちはどうやら畑帰りらしく、泥だらけで、大きな袋を担いでいた。おそらくその味気ない何かを収穫した帰りなのだろう。
ネコたちは不意に空を見上げて目を閉じた。しばらくの間、そうしたまま固まっている。私はその光景がなかなか滑稽だったので、興味深く長い間じっと観察していた。
「…聴こえるか?」
「いや、虫の羽音と川の音しか聞こえないな。」
「やっぱりお前にも聞こえないか。」
「いったい何が起こってるんだろうな?」
「いつになったらまた聴こえるんだろうか。」
そうか!このネコたちにも星の歌が聴こえていたんだ。私と同じように、星の歌が聴こえなくなっていることに気付いているんだ。そう思うとたまらなく嬉しかった。
声をかけようかと思っていたら、急に月が雲に隠れ、たちまち辺りは真っ暗になってしまい、2匹のネコを見失ってしまった。



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.01 2011
ちいさなおはなしたち comment(0) trackback(0)

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はらだかおる 1985年山口県生まれ仙台育ち東京在住。 現在ムトウアキヒトとuwabami(うわばみ)というアートユニットで精力的に活動中!また、uyulala(うゆらら)というガールズバンドでギターボーカルもじんわりやっています。 宮城県第一高校卒、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒、仙台美術予備校非常勤講師。

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